単繊維引張試験機 LEX820
主な特徴
カーボン繊維、セラミック繊維等の試験に使用できる高精度の単繊維用引張試験機
<単繊維引張試験機 LEX820>は特に化繊等の測定に使用する高精度の単繊維引張試験機です。本体の心臓部分にはドイツPhysik Instrumente社製のDCマイクロメータードライブが組み込まれておりスムーズな試料の移動を可能にします。反復しての位置決め精度を0.1ミクロンという驚異的なレベルで行うことが可能になりました。ドライブの可動レンジは50mmあり、ゲージの長さにより単繊維引張時の最大で測定可能な変位率(%)が決定されます。測定はBS EN 10002-2に準じた標準ウェイトで校正されたホイル状のストレインゲージ(米国Sensotec)社製で行われます。なおDia-Stron社ではこのためにNAMASで認証された校正用のデッド・ウェイトを用意しています。
直径測定用のレーザー回折装置と引張試験機はクロスした状態で配置されているため繊維を真っすぐにする作業と同時に直径を測定してその後、引張試験へとそのまま移行できます。
後述の自動システムとは別に単体でのIFSS マイクロボンドアクセサリーを使用した繊維樹脂界面特性の試験も可能です。
試験・測定方法
繊維用マウントシステム
セラミック単繊維、カーボン単繊維等は多くの場合、より分けるのが難しく、試験等の準備に手間がかかります。通常使用されるクリンプ(毛髪等で使用する留め金)ではこのような脆い素材のマウントは不適切で別の方法が要求されます。炭素に限らず特に脆い繊維での使用のため以下のシステムが開発されました。
サンプルは使い捨ての透明なプラスティックのタブ(ポリカーボネイト)にマウントされます。タブは長さ14mm、幅4mm、深さ1.8mmのものを使用します。タブの両端のポケットに接着剤を入れボンド付けします。ポケットの形状は接着剤のしずくが繊維の周辺を包み込み、同時に使用されるトレイの中にこぼれ出ないようにデザインされています。
写真のようにタブ1つにつき片側毎を固定します。タブはV字型をしているため繊維はタブの中心に来るように固定されます。粘性の少ない接着剤を使用することでV字溝の下に溜ります。これが引張り試験の際の決められた位置で名目上のサンプルの長さになります。
プラスティック製のタブは、写真のような透明なトレイ上にセットされます。この下に色の着いた土台を敷くことで、繊維はよりはっきり見て取れるようになります。白もしくは透明な繊維では背景が黒っぽいほうが目立ちます。
オートメーション化システムをサポートするWindowsベースの専用ソフトです。試験の制御を含め、データ解析を行います。
LEX820では通常の引張りに加え、緩和応力等の試験が可能ですが、本ソフトですべての試験の測定制御、データ解析までが行えます。
実際の市販の炭素繊維とその製造元が出すスペックシートの値と本試験機器で実施した試験結果についてもご確認いただけます。
文献リスト
スパイダー・シルク
Strain Dependent Structural Changes of Spider Dragline Silk
Anja Glišović,† Thorsten Vehoff,† Richard J. Davies,‡ and Tim Salditt*†
Institut fr Rntgenphysik, Georg-August-Universitt Gttingen, Friedrich-Hund-Platz 1, 37077 Gttingen, Germany, and 2 ESRF, 6 Rue Jules Horowitz, BP220, 38043 Grenoble Cedex, France
Macromolecules, 2008, 41 (2), pp 390–398