毛髪自動引張り試験機 MTT690
カーリーヘアの引張試験でのアプリケーション例
ハイカールタイプ毛髪の引張試験
毛髪繊維の引張挙動は、皮質によって支配される。 水がケラチン繊維の物性を大幅に変化させる能力があることは、十分に実証されている。 1,2 水和した髪では、皮質細胞内にある中間フィラメントは水の存在による影響を比較的受けないため、引張り剛性を支配する。 しかし、マトリックスタンパク質内の水の存在は、水素結合を破壊し、繊維の弱体化を引き起こす。
MTT690を用いた引張試験は、湿った毛髪繊維と乾いた毛髪繊維の両方で実施が可能である。これにより、毛髪皮質に浸透し、毛髪の水分を調節/制御したりする成分、トリートメント、製品の性能を確認および評価が可能である。 試験で得られるデータは、「強度」、「損傷保護」、「損傷修復」などの主張を立証するために使用される。
試験方法及び試験パラメーターについて
FDAS770とMTT690を使用して、カール タイプ 6/73 の毛髪について試験を行なった。2 つの毛束を用意し、各束から 50 本のファイバーを無作為に選択し、AAS1600を使用して 真鍮クリンプの間に取り付けを行なった。
FDAS770 と MTT690 をそれぞれ使用して、寸法と引張りの測定値を記録した。ウェット測定では、テスト前にファイバーを脱イオン水に 1 時間浸漬し、すべての測定を制御された環境条件下で実施した。
シングルフェーズおよびスリーフェーズを使用し、専用ソフトウェアでデータを解析し、弾性率、破断応力、および破断ひずみを取得した。なお各パラメーターの内容については以下の通りである。
◉Elastic Modulus(弾性率) - 応力/ひずみの比率は剛性の尺度であり、GPa で表記。 この弾性率が高いほど、繊維が硬いことを示す。
◉Break Strain(破断ひずみ) – 繊維が破断する前に伸びた % で、繊維の当初の長さ (30mm) と比較したパーセンテージで表記。
◉Break Stress(破断応力) - 毛髪繊維を破断するのに必要な単位面積あたりの力で、MPa で表記。 破断応力は繊維の引張強度を表し、破断応力が低いほど繊維が弱いことを示す。
参考文献
1. M.M. Breuer, The binding of small molecules of hair I. The hydration of hair and the effect of water on mechanical properties of hair, J. Soc. Cosmet. Chem., 23, 447-470(1970)
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5. Lunn R.J., Leray Y., Bucknell S., Stringer D.M.; The effect of Internal Stress Concentrators on the Fatigue Behaviour of African Hair, Poster Presentation P281, IFSCC Conference, Milan(2019)